昨今のサブプライムローン問題、住宅市場在庫の増加に伴い、ロサンゼルスの不動産価格もあちこちで下落が起こっています。私の担当エリアであるウエストサイド(サンタモニカ、ブレントウッド、ウエストLA、ハリウッドヒルズ等)やスタディオシティー、シャーマンオークスでは今のところ他のエリアに比べて価格の下落はさほど顕著では有りません。しかし、他のエリアで市場に出ている物件を見ていると最近良く目にするのがShort Saleと言う言葉です。皆さんも聞いた事が有るでしょうか?お電話やメイルでのお問い合わせでも「Short Saleを扱ってますか?」と言うお問い合わせを随分と頂く様になりました。そこでここではこのShort Saleについて詳しく説明したいと思います。
前述の通り、ウエストサイドでは未だこのShort Saleは余り目立っていませんが、リバーサイドカウンティーやオレンジカウンティーの一部では売り出し物件の半分以上がこのShort Saleとなっているエリアがあります。皆さんも今後不動産のウエブサイトや日曜版のLA TIMES等のHOME FOR SALEでShort Saleと言う言葉を目にする機会が増えてくると思います。
このshort Saleを一言で言うと売り出し価格がオーナー(売り手)が抱えている住宅ローンの額より低い価格で売りに出されている物件の事です。例えば売りに出された物件のオーナーが抱えているローンが50万ドルだとしてもその物件の売り出し価格が40万ドルで出ていると言う具合です。何故こんな事が起こるかと言えばオーナーが何らかの事情でお家を売らなければならなくなったにも拘わらず、現在の市場価格を考慮すると売り出し価格が抱えているローンの金額より低くしか売れなくなると言う状況でこのShort Saleが起こります。オーナーさんにとってはまさににアンラッキーな状況ですが、これをそのまま放置しておけばオーナーさんのローン返済が滞り、いずれはForeclosure(銀行抵当流れ)と言う最悪の結果となる為、その最悪の結果を防ぐ為のオーナーにとっては苦肉の策と言えるでしょう。
従ってこれらの物件は同エリアの同等物件に比べて著しく価格が低く、バイヤーにとっては「このエリアのこのお家がこんな値段で売ってるの?」と言う正に掘り出し物的な価格となっている場合が多々有ります。バイヤーさんの中には「チャンス到来!」と考える方も大勢いらっしゃるでしょう。但し!!このShort Saleはオーナーさんに取っては勿論、バイヤーさんいとってもそう簡単で単純なトランザクション(売買過程)では無いのです。
1.Short Saleの価格は銀行が許可していない。
Short Saleとして売りに出されたリスト価格が仮に$50万ドルだとしましょう。もしこのリスト価格が通常のリストの場合、もし50万ドルのオファーがバイヤーさんから来た場合には売り手さんがそのオファーを受けるか否かの決定権を持っています。しかしShort Saleに於いてはそのオファーを受ける決定権はセラーには有りません。決定権はレンダー(銀行)に有るのです。もしその物件に対して銀行のローンが60万ドル有った場合、50万ドルのオファーを受けるとなると銀行は10万ドルの損失を出す事となります。従ってこの損失を銀行が承諾するのか、仮に承諾したとしても10万ドルでは無く、5万ドルしか承諾しないのかを銀行は検討します。そしてその結果、銀行が損失を出さないと結論を出した場合には売値は60万ドル、損失を5万ドルまでならOKと考えた場合には55万ドルの売値としてバイヤーさんに提示されます。
つまりリスト価格の満額をオファーしたからと言って必ずしもその金額でエスクローがオープン(売買契約始まり)されるとは限りません。更にこの銀行の考慮期間が比較的に長くかかり60-90日かかる事も決して稀では有りません。因みに通常の売買成立期間は30-45日です。
2.リスト価格を意図的に低くしている場合も有り得る。
Short Saleの場合、売買成立後にセラーにはNet Proceedings が一文も入って来ません。従って極端な言い方をすれば、物件が幾らで売れようと関係が無いと言う事になります。それよりもセラーにとって大事な事はShort Saleで出来る限り早くバイヤーを見つけて銀行にその買値を承認して貰う事がForeclosureを避ける為の一番の方法だと言えます。それではバイヤーを早く見つける方法とは?やはり価格です!!市場価格より大幅に低い価格でバイヤーの目を引き、オファーが来る様な状況に持って行きます。或いは価格が魅力的で有れば複数のバイヤーからオファーが入り、その結果競売となり、当初のリスト価格より高いオファーが来る可能性も出てきます。オファー価格が高ければ高い程、銀行がそのオファーを承認する可能性も高くなると言う事です。
結論として、Short Saleの場合、リスト価格でオファーをしてセラーがOKを出しても銀行が承認しなければオファー価格そのものには何の意味も無い事になります。
3.文字通り"AS IS"の売買
通常の不動産売買の場合、バイヤーとセラーが価格を含めた全ての条件に合意がなされたら、直ぐにエスクローがオープンされます。この場合、バイヤーは通常、物件のインスペクションを入れて物件に問題は無いかどうかを調べたり、Termite Inspection(白蟻等の検査)をセラーに要求したり、物件が所在する回りのNatural Hazard(地震、洪水、山火事等の危険性を示す書類)を調査したりするBuyer's Inspection Periodが有ります。
仮にそれらの調査の結果、何らかの不具合が見つかった場合はセラーとの交渉により、見つかった不具合を修繕する要求やそれに替わるクレジットをセラーに要求を出して問題を解決して行きます。数年前までの極端な売り手市場の場合は別にして現在の市場ではバイヤーからの要求がある程度リーズナブルで納得のいくもので有ればセラーはこれらの要求の全て或いは一部に合意してバイヤーの要求に応えます。
しかし、Short Saleの場合はこの点が全くと言って良い程交渉の余地が有りません。何故ならセラーとしての決定権は銀行に有り、その銀行は損失を出すからです。仮にオファー価格が銀行で承認されたとしても、その承認の前に、物件のインスペクションの結果の修繕、Termite Inspection, Natural Hazardの書類の用意等は一切しないと言う条件を出して来る場合が殆どです。
無論、バイヤーさんに前述の検査、調査をする権利やその結果に不満が有ればある決められた期間内にキャンセルする権利は有します。通常の売買と違う所は物件に関する検査やその周辺の調査等の費用は全てバイヤーが自身で行い、その結果としてセラーからの対応は無いと思った方が良いでしょう。
結論
もし皆さんが今お家を探していてShort SaleやForeclosureを専門に探したいとお考えでしたら上記の事を十分頭に入れてお探し下さい。またShort Sale自体結果的に「お買い得物件」でない場合も多々有ると言う事も解かって頂けたかとおもいます。